「おい、なに考えてんだ!」
突然の怒鳴り声とともに、ガラガラッと勢いよく実習室の扉が開き、怖い顔をした一人の男子が、大股でわたしの方へと近づいてくる。
「え、あの、えっと…………ひぃっ!」
返すべき言葉が見つからないまま壁際まで追いつめられたわたしの顔の横に、ダンッ! と両手をつく。
まだプスプスとおかしな音を立てながら煙をあげているフライパンをちらりと横目で見ると、その男子が地を這うような低い声で言う。
「こんなに大量のチョコをダメにしやがって」
すらりと長い手足に、長めの前髪の間から覗くシュッとした切れ長の目。
見たこともないほど端正な顔立ちで、普通ならトキメキ100%な状況のはずなのに……春風心愛12歳、絶体絶命の大ピンチです~~!!!!