獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める



初めて旧校舎に立ち入って、ベルになると決める前…。




「ポンコツ、あんたは一度隼太くんから逃げた。次拒んだら俺はあんたを許さない」



今度こそ、颯くんに嫌われちゃうかもしれない。


せっかく仲良くなれたと思ったのに。




『口にしてはいけない』



頭の中で言い聞かせて堪えていたけど…




「もう、限界」


「それは俺の本性を知って?」




口にしてしまえば、もう止めることはできなくて踏みとどまってきたものが全部出てしまう。




「私は…っ、ベルと言われているけどここへ来る前は何も知らないただの女子高生。 急にベルになって、憎しみに溢れる人に狙われて…正直重いよ」




泣いてはいけないと思うのに、ポタポタと目から雫が落ちてくる。



みんなの視線が怖いけど、それ以上に黒金会の人達が怖い。



あの場を何とか止めるために彼らの元へ行くと口走りそうになったけど、行けば間違いなく私は消されてしまう。



「ベルを…辞退させてください…っ」



最後に私は、深く深く頭を下げたあと逃げるように走って旧校舎へ出た。