たぶんそれも隼太くんはわかってるはずなのに、敢えてそこには触れなかった。
「七瀬がベルだと知られた以上、旧校舎の警備は厳重警戒とする。」
「まあ、そうなっちゃうよね。 隼太クン、なあちゃんの警備は俺たちで交代でへいき?」
晴人くんも、今話してる輝くんも、黙って聞いてる颯くんも。
…なんで、何事もなかったように普通なの?
あの喧嘩は、世間一般なの?
彼らが隼太くんに向ける憎しみや悲しみは、異常だと感じた。
そんな彼に私が愛を与えれば、私は相手からは裏切り者を庇う女に見えるはず。
「…私なら、だいじょうぶ。守ってもらわなくて」
「え、なに言ってるのあんた。さっき怖い思いしたのに何が大丈夫なの?」
ずっと黙って聞いてた颯くんが、私の肩を揺らす。
気がおかしくなったのかとでも言うように。
今になって颯くんが最初に言った言葉を思いだした。


