獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める



─────ドォーンっ



この場を止めるために発しようとした言葉を突然、爆音がかき消す。



耳を裂くようなエンジン音とともに、黒いバイクたちが目の前に滑り込んだ。




「おい、ななせ。くだらねえこと考えてんじゃねーぞ」



「なあちゃん、よくひとりで頑張ったね」



「遅くなってごめん、ポンコ…なな」




ヘルメットを被っているけど私には、わかる。
この声、呼び方、話し方。



わかった瞬間に今までどうにか保っていた緊張の糸が、途切れた音がした。




「晴人くん、輝くん、颯くん…っ、助けにきてくれてありがとう…! 私、何もできなくて…隼太くんが…っ」




「ここまで時間を稼いでくれただけで充分だ。もう大丈夫だからおれたちに任せろ」





今までのことを説明しようとしたのに、言葉より涙が溢れてきて晴人くんはそんな私の頭を撫でて落ち着かせる。




数だけでは、晴人くんたちが来ても不利なはずなのに大丈夫な気がするという安心感が生まれた。