「お願いだから…もうやめてよ!!!」
「…」
私の声が、届いてない。
無理にでも止めようと追いかければ、リーダーらしき男に声をかけられる。
「これでもまだあいつが獣じゃない、信じるって綺麗事並べるの?」
「……」
何も、返せなかった。
獣じゃないと本気で私は信じてたのに、言葉が届かず狙った獲物を仕留める姿は…っ
隼太くんがではなくて、自分が嫌。
隼太くんを知ろうとせず、最初から獣じゃないと言っていざ自分が知らなかった一面を見たらこうやって怖がってる。
里菜ちゃんにベルについて聞いた時のことを思い出す。
『昔の鳳凰は手がつけられないほど野蛮で、特に総長は1度喧嘩したら、相手が気絶しても殴り続けるほど凶暴だったんだって。そんな彼に真っ直ぐ向き合って、愛を教えたのが心の美しい女の人みたい』
今の私にそんなことできる?
止めても隼太くんに私の声が届かないのに。
「ほら、この状況止めたいなら俺たちの指示に従って黒金会に来い」
ベルは、脅しなど色々利用価値があるって隼太くんが言ってたけど…今は考えてる時間がない。
もし、私が危険な目にあっても…止められるなら大丈夫。
「あなたたちについて行くから、もうやめ―」


