どうにか肩を貸して立てたけど…この状態で病院までは難しい。
やっぱり救急車を呼ばないと。
そこでふと気づく。
スキンヘッド男に奪われた私の携帯は…?
キョロキョロ辺りを見渡すと真っ黒の画面になった私のものと思われる残骸が落ちていた。
「わ、わた、私のスマホ壊れてる…! ああ、おすすめされた本の名前メモしてたのに……」
画面をタップしても一向に画面が明るくなることはなくて、側面の電源ボタンを押しても反応することはなかった。
「あの…すみません。救急車呼びたいのでスマホ貸してください」
「は?」
「自分の壊れちゃって」
次はないって忠告受けたばかりで、これはもう笑えない。
やっぱり私が運ぶしかないか。
「忘れてください。私が病院まで連れて行きます」
「この時間に病院が開いてるわけないでしょ。阿呆」
あ、阿呆!?
確かに考えてみればこの近くの病院は時間外でやっていない。


