すぐに里菜ちゃんに駆け寄って教室の隅まで引きずる。
「り、里菜ちゃん!今日の私どこか変かな!? 遠慮なく教えて欲しいです!!!」
「いつも落ち着いてるのに、七瀬がパニクってるなんて珍しいね?」
「だってみんなの視線が私に集まってるんだよ?」
「いやいや、七瀬は普段から視線集まってるって…。そうね、特に今日はその首元が気になるんじゃない?」
首元…?そう時間がかからずに朝の出来事が、鮮明に蘇ってくる。
ドキドキしてそれどころじゃなかったけど、行く前のチクッとしたあの痛み…
まさかと思ってトイレに走り込み、鏡を見れば赤い薔薇の花びらのような痕があった。
皆は私ではなく、私の首元(ここ)を見ていたのだと気づく。
私はそれに気づかず、のこのこと教室に行って見せびらかしてるみたいで恥ずかしい…っ!
「私が思ってた通り、愛されてんね七瀬」
「これはそうじゃなくて…ただの意地悪だよ」
「いい加減認めなよ、七瀬も少しは隼太さまのこと気にはなってるんでしょ?」
もし仮に私が気になっていたとしても、結ばれるはずがない。
皆が敬う雲の上のような人と、読書好きの平凡な私。


