それをチャンスと思い、颯くんに聞かれないように私が里菜ちゃんの席へ移動する。
「里菜ちゃん、もう一度幹部の事について教えてもらってもいい?」
昨日大まかな説明は聞いて頭に入っているけど、誰でも知っている内容より少し詳しい程度。
自己紹介……といって里菜ちゃんはリサーチノート?みたいなの見てたけど関係ないからと抜け落としてた。
「なになに七瀬!昨日でなんかあったの?」
「ありすぎてキャパオーバー寸前なの」
書店に晴人くんが来たところから、ベルの制服を着ていることや交渉をして、幹部がついてくることを絶対条件なことまで話した。
里菜ちゃんは最後まで微笑んでいて、私には漫画のように頭の上に『ワクワク』という文字が浮かんでいるように見える。
これは絶対に面白がってる顔。
「そんな羨ましいことある!?というか、あの冷酷無慈悲な隼太さまが七瀬の事を気にかけてるなんて激アツ過ぎ」
「いやいや、気にかけてるなんて恐れ多い…!ただ私が逃げないように監視してるだけだから」
たぶん……。隼太くんは用心深いから。


