獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める



確かに机を運んだのはクラスメイトだけど、ちょっと机離すとか別のところに移動するかと思うじゃん。



なんか、嫌そうだし颯くん何も持ってきてないから教科書シェアって怒られる気しかしない。




「ポンコツ、教科書見せて」



「う、うんどうぞ」




私と颯くんの間に教科書をおけば自然と距離は近くなる。


わぁ…、こんなに近くなることなかったからわかんなかったけど、すごい甘い香り。




「颯くんの香水ってバニラ?」


「そうだけどなにいきなり」


「や、距離が近くて緊張するって思ってたら颯くんから甘い香りがして」


「ば…っ、距離なんかこれくらい当たり前だろ!なに意識してんだよ」




颯くんは椅子ごと少し後ろに下がって、顔色がまた熟れたリンゴのように染まっていた。


ああ、私またなにか余計なこと言って怒らせたんだ。



もう、無理に話すのやめよ……これ以上やらかしたらNG出る気がする。