「隼太くん、起きて」
声をかければ瞳は閉じたまま眉間に皺を寄せて…
「うるさい。殺すぞ」
物騒な言葉を放つ。
「朝だよ?起きて」
「うるさい」
「…おわっ!?」
ベッドから手が出てきたかと思えば、その手は瞬時に私の手首を掴んで引き込んだ。
綺麗な顔に見下ろされて組み敷かれているだと気づく。
「ね、ねぇ…はやた…んっ!」
呼び捨てになってしまったのは、途中で何かによって遮られたから。
そう、私の唇に重なったのは隼太くんの唇で…
形を確かめるように軽く、
角度を変えて、
上と下を交互にやんわり挟んでキスを繰り返す。
本での知識だとキスはお互い気持ちを確かめ安心するもの、好きな人であれば心地よいものだと頭にあった。
今の私の状況ではどれも当てはまらず、心臓が壊れたようにバクバク音を立てる。


