隼太くんを見てたら昨日のことでずっと気がかりなことがあって話を変えるように私は尋ねる。
「あの…昨日の人って無事だった?あの怪我だと入院してるよね、お見舞いに行きたい…!」
「ああ、あいつなら大丈夫。命に別状はないけど面会謝絶なんだ、そのうち会えるよ」
「そっか…あの時、私のことも助けてくれてありがとう」
「いいえ、あいつを助けたばかりにこーんな獣に目をつけられちゃって…ほんとに災難だったねお前」
さっきいた部屋(幹部室)を出て、廊下で歩きながらの会話。
最初、冷たくて怖いって思ってたけど案外笑う人なんだと知ることができた。
「自分でも獣だと思ってるの?」
「なにお前には俺が人間に見えるんだ?情けなんてかけない狙った獲物は徹底的に排除できる獣だよ俺は」
「はじめて会った時から私は、隼太くんがちゃんと人に見えるよ」
「それはまだ俺を知らないからじゃない?そのうちわかるよ。はい、ここがお風呂場ね。制服は洗濯機の上に置いてあるから着替えたら出てきて」
目的地に着いたため会話が強制終了となった。
本当に獣だったら…昨日どうして私の言葉を聞き入れてくれたのか。
言いそびれちゃった。


