て、思えるわけがない!



「晴人くん、この体勢は恥ずかしいから…ほんとにやだ…」



「はぁー、まじで手のかかる女だな」



「もう逃げないよ」




長いため息と同時に、何十分ぶりかに足が地面につく。
そこではじめて晴人くんの顔をじっくり見た。



白銀の髪から覗く鋭い閃光のような瞳に、シルバーのリングピアスを片耳につけて、動物に例えるならオオカミ。




「もうわがまま聞かねーから大人しくついてこい」



「う、うん…」




晴人くんの手のひらが、私の手のひらと重なって包み込むように絡めて握る。



そのまま1歩前へ出て、誘導するように手を引き旧校舎へと進んだ。