獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める



そっと最後のページを閉じて、元にあった位置へと戻す。



「ほんとに今日は誰も来ないな」



時間ならまだあるし、他のも見てみようと隣の本に手をつけた時だった。



カランカラーン─

書店のドアの入口の鐘が鳴る。




「いらっしゃいませ…て、店長!?」



「な、七瀬ちゃんなんで今日いるんだい?」



「え?今日は店長が隣町に行くって言ってたから私が店番じゃないですか」



見てはいけないものを見てしまったかのような顔面蒼白の店長に、内心焦っていた。

レジ横にあるスケジュールの紙を見ても確かに、今日は私が店番になっている。



「七瀬ちゃんは、“ベル候補”でしょ?」



「どうしてそれを…!?」



「昨日、ここに鳳凰の人が来て明日からここには来ないって言われたんだよ。」