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逃げるようにバイト先である書店に入れば、今日もお客さんはいなくて、心が安らぎ泣いている赤ちゃんも泣き止むような優しいオルゴールの音がお店を満たす。
新しい本や、世に出回っていない珍しい本などたくさんあるのに、暴走族で荒れた繁華街の書店に本を買いに来る物好きは滅多にいない。
今日手に取った本は『サンドリヨア』
ヒロインである少女は、家族内で虐げられていて苦境の日々を過ごしていた。
お城の舞踏会にも行けなかった少女に、不思議な力でドレスやガラスの靴を用意してくれて…
午前零時までの時間限定で。
その間に王子様に見初められて恋に落ちる。
時間をすっかり忘れて焦って帰ろうとした時に、片方ガラスの靴を落としてしまう。
その靴は少女にしか履けないもので、王子様に見出されて将来を共にする話。
「良かった〜!王道の話だよねこれ」
女の子なら一度は通る憧れの物語だと思う。
落とした靴が履いていた子にしか合わないっていうのも、運命的で好き。
現実ならサイズが合えば履けちゃうもんね…


