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4人で話していたら、隼太くんが放送室から出てきた。


表情的に、同盟は結べたのだと悟る。



真っ直ぐに私の前まできて、大きな掌が頭の上に乗っかった。



「ほんと言うこと聞かないお転婆なベルだね、お前」


「隼太くんが怪我してるのに無茶するからだよ」



ほんとにほんとに心配した。

もし、怪我が悪化して動かなくなったらとか…怪我を庇って他のところも怪我してたらどうしようとか。



「隼太くん…、はベルだから私をそばに置いてるのはわかってるけど、任期が終わっても離れたくない。好きなの」


「は?今までずっとそう思ってたの?」


「え…だって私が今までにいない面白い女だからベルにしたんだよね?」


「じゃあ、俺がキスしたのはなんだと思ってるの?」


「えと、ただ寝起きが悪いだけだと…」



これに関しては、半分は冗談。

私はベルだから、隼太くんに関して好きになってはいけないと思ってたから、気のせいだと思い込ませてた。


恐る恐る見上げると、深いため息を吐いて呆れている。




「俺さ、いくら獣だって言われてても、好きな子にしかあんなことしないよ?」


「あ、あんなことって…割と最初からだったような?」



そこまで言って、他の3人もいるのだと慌てて口を押さえるけど遅かった。


ニヤニヤしてる、絶対後で揶揄われるやつだ。



「俺の一目惚れ。だから、七瀬が逃げ出しても最初から離すつもりなかったよ」


本人曰く、ベルは口実だったらしい。
けど、結果的に役を全うしたから鳳凰の伝統である、ベル制度も守れたのだと言う。



隼太くんの好意に気づいてないのは、私だけだったみたいで、鈍感とかポンコツって言われたけど…


あの、わかりにくくない?



「七瀬ひどいなあ。帰ったら朝までたっぷりお仕置きね。言っとくけど、泣いても今夜はやめてあげないから」



この日の夜、怪我をしているのにも関わらず、言葉通り朝まで愛され続けたのでした。