「待って七瀬!?ここで待ってろって言われてたでしょ?」
「ごめん里菜ちゃん。私バイトあるし、昨日スマホも壊しちゃったから修理に出さなきゃ…」
「そんなのあとでいいでしょ」
「と、とにかく何か聞かれたら適当に誤魔化しといて」
ベル候補として選ばれた人が逃げたら、ベルにする気力も失せて諦めてくれると思う。
もっと他に可愛い子はいるし、どうしても私なんてことはないだろうから…。
私には私のやりたいことがある。
それに、本当に昨日会った人が鳳凰の総長なら、尚更諦めてくれるはず。
いかにも興味を示さないし、彼のやり方に口を出して挙句の果てスマホを貸してほしいなどと言ったり、開いているはずもない病院へ連れていこうとしたりかなりやらかしてしまっている。
だから忘れてまた新たな本と出会える至福のバイト先へ向かった。


