声も多分震えるけど、私が彼に話さなきゃいけない。
私もみんなと自分にできることで、戦うって決めたから。
平凡の生活をしてきた私にとって、憎しみに溢れて傷つけ、奪い合う世界を知らなかったから怖かった。
だから、一度はベルからも逃げた。
「…怖くない。憎しみに飲まれて誰かを傷つけるだけど拳より、苦しいはずなのに憎しみを断ち切った拳の方が強いってわかるから」
だから、怖くない。
私の言葉に柚木くんは、怯んで拳が震えていた。
今度こそ、彼に届くと信じてまた言葉を紡ぐ。
「あなたは、行き場のない憎しみを隼太くんに押し付けてる。本当に終わらせないといけないのは、私たちが対立して好都合と思っている黒金会」
彼らと会って、人の心がわからず残酷な手段を平気でやる人。
追い詰められた時に、銃を出して躊躇いなく発砲したあの出来事は私にとってトラウマだった。
「彼らは、いずれあなた達も狙って黒金区を牛耳ろうとしてる。それを止めないと、もっとたくさんの憎しみが溢れちゃうから…」
「七瀬の言う通り、奴らは俺たちを戦わせるように仕向けて、弱ったところにトドメを刺しにくる」


