間違いなく、柚木くんの隣にいる彼は、柚木くんのことを大切に想っているはず。
「あなたを大切に想う人を守るために、その拳を使って」
私には隼太くんたちの闇を理解することができない。
そんな世界があるなんて知らなかったから、黒田を説得しようとしたときに、何も伝わらなかった。
そんな私が、この人の心に届くように考えた言葉がこれだ。
部屋の外から、喧騒が聞こえる中私たちはその場で立ち尽くして様子を伺う。
「七瀬!」
沈黙を破ったのは、派手にドアを壊して入ってきた…1番今会いたくて、大好きな人。
「は、隼太くん…どうしてここがわかったの?それに怪我は大丈夫?」
「それはこっちのセリフ。俺、待っててって言わなかった? 放送でお前の声が聞こえて肝が冷えた」
「え、放送…?」
隼太くんを見つけることが第一優先で、この部屋がなんなのかそこまで気にならなかったけど…
あたりを見渡すと、マイクにアンプ、スピーカーがあって放送室だと理解する。
そこまでわかれば体温がかああっと急上昇。


