「これ以上隼太くんを…皆を傷つけないで」
「誰に向かって口きいてんだよ。お前が大好きな腑抜けた総長と俺は違う」
一言に圧があって、冷めた低い声が全身を凍らせるようだった。
怖い…、身体全体で『危険』だと警告している。
けど、逃げないって決めた。どんなに危険でも隼太くんの隣にいたい、彼が美しい心を持つベルだと選んでくれたから…
私の言葉を信じてくれたから、その私をここで曲げたりしない。
私も一緒に戦うの!
「どうして、隼太くんを狙うの?」
「あいつは、人殺しの血が入った悪魔だ。あいつの存在が周りを不幸にする」
「違う、やめて…! 私は不幸と思ったことは1度もない」
「はっ、あれだけ怖い思いをしてたやつが? あいつと関わったばかりにお前は、平凡な日常とかけ離れたんだぞ?」
「怖い以上に幸せなこともあるから。 平凡な日常から離れたのは私の意思」
柚木くんの言う通り、最初は平凡な日常を望んでた。
ひたすらに大好きな本を読んで、その世界に浸って…
気づけばその周りに、隼太くんがいて、晴人くん達に振り回されて新鮮なことばかり起きた。
それを嫌と思ったことは1度もない。


