獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める


この血、奥まで続いてる…。


隼太くん、無理をしないで。無事でいて。

そう願って、1人不安を抱えながら長い廊下を走った。


重たそうな扉の前で血は止まっていて、足を止める。



ここ、なんの部屋なんだろう。


北高校は、旧校舎でも綺麗に部屋のプレートが残っているけど、ここはない。


そんなのは今はどうでもよくて、思い切り私は扉を開けた。



「隼太くん‼︎」


周りを見渡すと、隼太くんの姿は見つからず、中にいたには青鷺火の人。



いくら周りから鈍いと言われても、さすがの私もわかる。


この部屋にいる彼は間違いなく幹部だって。



「へえ、あの状況でお姫様1人でここに辿り着けるんだ?」


「…っ!」


「さすがベルだね」


「隼太くんはどこ?」


「ああ、あいつなら怪我で苦しみながら、どっかで倒れてるんじゃない?」



私の前に立つ彼は、口調は荒くないものの常に笑顔の仮面を貼り付けて、表情は変わらない。


こーゆー人が1番怖いって、体が拒絶している。


隼太くんがここにいなくて、彼も怪我をしていないとなると…あの血は恐らく私を誘き寄せる罠。