隼太くんは無駄なことは話さない、付き合いの長い晴人くんにも。
本当は優しくて、仲間思いなのに。
話を聞いて1度逃げた自分を殴りたくなる。
怖くても向き合うべきだったって。
過去を聞いた今、どんなに敵が多くても、住む世界が違ったとしても、隼太くんのそばにいたい。
私だけはどんなことがあっても、隼太くんの味方でありたいと思った。
「隼太くんは…柚木くんのことどうするつもりなの?」
「え?」
ここまで話を聞けば、次に隼太くんがどう動くかなんてわかってしまう。
それでも敢えて隼太くんに私は尋ねる。
「黒金会の黒田は逮捕されたけど、隼太くんを狙う青鷺火の柚木くんはまだいる」
「ああ、それは七瀬が今考えてることをやるよ」
考える素振りもなく即答だった。
今の私の考えを…思いを伝えたい。
誰かをこれ以上傷つけてほしくないし、隼太にも傷ついてほしくないから。
憎しみの連鎖を止めるのは、今だと思った。


