2人きりの空間になって、布団から出ている手を両手で包むように握る。



どうか目を覚まして…いつものように私をからかって笑ってと祈るように。



この3日間ずっと祈ることしかできなくて、静まった部屋にベッドサイドモニタの機械音だけが規則正しく鳴っていた。




「隼太くん…、まだ隼太くんから話聞けてないよ。 帰ったら話すって言ってたじゃん」


「…」



定期的に話すけど今日も応答は全くない───と思った。




私が包み込む手がピクっと動いて、慌てて隼太くんを見るとぼんやりと目が開いていた。



「隼太くん!今先生呼ぶから待ってて」


「大丈夫だからまだいい、七瀬といたい」



握っていた手を離して席を立とうとすれば、逆に腕を掴まれてベッドへダイブする。


もう片方の長くて細い指先が私の目元、頬に触れてフッと笑った。



「ひっどい顔だねお前、泣いちゃったの?」


「…っ!ばか、隼太くんの大ばか…、3日も目を覚まさなくて不安でっ、どうして危険なことするの…!」


「七瀬もそうやって怒るんだ? 普段も可愛いけどその顔もそそられる」


「話変えないで!」



すぐに隼太くんはいつもの通り、自分のペースへと持っていく。

それに私は流されるけど今回ばかりは譲れない。


そう目で彼に訴える。