「隼太は恐れられていつも孤独だった。 そして、見たもの聞いたものが1度で覚えられることから、人間ではなく獣だと言われてる」


「…」


「おまえのように隼太を人間だと言う女の子もいた。黒金会は、あいつが人間らしく生活することを許さないから、その女の前で隼太を暴走させまた孤立させた」


「…ひどい」



私も最低だ。

晴人くんの話を聞いて、私は更に罪悪感で押しつぶされそうになる。


私をからかう隼太くんはとても楽しそうだったのに…、彼のことを全て信じてあげられずに傷つけた。



「そして、隼太を大切にしていた母親は黒金会の南の責任者、柚木に殺された」


「え…?隼太くんのお母さんも?」


「俺たちが思っている以上に奴らは腐ってる。俺が知ってるのはそこまで、事情を知っても隼太の傷の深さを癒すことはできなかった」



椅子に座って俯く私の頭に大きな手が乗って…その手には私に何かを託したような温かさが伝わる。



「ななせ、あいつの傷に触れて癒せるのはおまえしかいないと俺は思ってる。 だから、隼太を頼んだ」



言い終えると、大きな手は私の頭から離れて病室の扉を後にした。