「ななせ、変わるからおまえも休め」


「晴人くんありがとう…でも大丈夫、今は隼太くんのそばにいたい」




静かにベッドで眠る隼太くんを、椅子に座りながら眺めているのは今日で3日になる。



隼太くんが倒れた3日前、私は泣き崩れてその後の記憶がほぼほぼない。


あとから聞くと、ちょうど警察が駆けつけて黒田は逮捕された。
そして隼太くんは病院へ救急搬送されて、3日間私が見守り続けている。




「ねえ晴人くん。 私ね、初めて喧嘩を目の当たりにして怖くて、ベルという名が重いって逃げた」


「…」


「今は違う、私も一緒に隼太くんの隣に並べるように何があったか知りたい」


「…隼太の父親が黒金会の北を仕切っていたのは知ってるな? その事実は小学校、中学校で誰もが知っていた」




前に隼太くんに止められて聞けなかった話を、晴人くんが覚悟を決めたように続ける。


私もまた覚悟を決めた。


これを聞いた最後、私はもう普通の女子高生には戻れない。


それでもベルとして…ううん、春野七瀬として知らなければならないと思った。



隼太くんが買ってくれた『美女と獣』という本を抱きしめて…