声を荒らげて今にも殴りかかってきそうな勢いだ。
──その時、大きな背中が私を庇う。
「この子に手出したらお前の命はない」
さっきまで颯くんのところで戦っていた隼太くん。
素手相手に鉄パイプや、バッドを振り回す卑怯な彼らは地面へなぎ倒されていた。
南の責任者を名乗る男…、隼太にあとから聞くと名は黒田と言うらしい。
黒田は、私を殴ろうとした拳を振りあげたまま固まる。
「あなたの目的は本当に復讐だけ?」
「何が言いたい?」
「黒金区は暴走族が北と南で対立しているけど、今まで争うことはなかった。 けど、南の青鷺火はここ最近頻繁に北側へ侵入してる」
私が隼太くんと初めて出会った時もそうだった。
グループで北側へ侵入して単独になっている鳳凰の人を、傷つける。
私が関わったのは森川くんだけだけど、その他にもいたかっことを前に偶然聞いてしまった。
「憶測だけど、争うことのなかった鳳凰と青鷺火がこうなっているのは、あなた達が鳳凰になりすまして青鷺火の人を傷つけたからでしょう?」
今まで睨み合っていたにも関わらず争いが起こっているということは、なにかきっかけがあったからだと思った。
そしてその原因は、2つの派閥が争って好都合な人達と考えたら答えは1つ。


