隼太くんは徐々に颯くんのほうまで近づいて、敵を倒していく。
逃げないって決めたから、目を背けずに見届ける。
怖くて、手足が震えてても…仲間を私を守るためにたった1人で戦う隼太くんを…。
「なぜガキの分際でここまで強い。 俺は、あいつを殺るまで死ねない」
ブツブツ呟いているのは、南の責任者と名乗っていた男。
どれだけ隼太くんを恨んでいるか伝わるほど、憎しみに溢れてそのままにしていたら何を仕出かすかわからない。
落ち着かせるためにゆっくり…深呼吸をして、私は彼に対峙する。
「今まだこの建物内にいる仲間に警察を呼んでもらいました。 このまま続ければ間違いなくあなた達は捕まります」
「そんな脅しが通用するとでも?」
「本当です。 私には、あなた達の目的も過去も知らない。 けど、誰にも傷ついてほしくない」
…包帯だらけになっていた森川くんや、隼太くんが気絶するまで拳を振り続けた男のような人を見たくない。
「お前に何がわかる?傷ついてほしくない…?んなの俺らの世界じゃ通用しねえんだよ!」


