「お前は必ず守るから、このまま颯のところまで行く」




私の手を包んでいた隼太くんの手が、更にぎゅっと握って走り出す。


ここは罠だらけで必然と颯くんのところまで来させるように…。



どうかどうかみんなが無事で帰れるように、願うことしかできない私が情けない。













しばらく長い廊下を罠を避けて、右へ曲がって左曲がったりすると奥に1つ扉が見えた。




隼太くんと一緒に扉を開けると、そこには黒いスーツを着た男達が待ち受けていて颯くんもいる。




「なな!?…それに隼太くんも」


「颯すぐ助けるから大人しくしてな」




冷たいコンクリートに転がされていた颯くんは、私たちの顔を見ると元々大きな瞳が更に大きくなった。



心配になって隼太くんを見れば、静かな怒りを感じる。



「隼太くんスマホ私に貸して!」


「晴人に頼んだ」



スマホを貸してと言っただけで私の考えがわかってしまう隼太くんは、さすがと言いたい。


今私にできるのは晴人くんに状況を連絡して、助けを求めることだと思った。



【私と隼太くんは、颯くんのいる3Fの1番南の部屋にいるよ。 警察を呼んでほしい】


それだけ打ってシュポッと送信する。