それから一緒に探すことになったけど…どこを探しても颯くんはいなかった。
晴人くんと輝くんが囮になってくれているおかげで、私たちは襲われずに済んでいる。
「颯くんもしかしたら南の責任者を名乗る人のところかも」
「どうしてそう思うの」
「私に言ったの、隼太くんの大切なものを奪うって。そこに私も含まれて閉じ込められていたんだけど…」
「なるほどね、恐らくお前の予想は的中してるかも」
私よりも付き合いの長い颯くんが、隼太くんの大切なものに入っていないわけがない。
それに、私は女だから逃げ出すとは思ってなかったのだろう。
けど、颯くんは強いから常に監視が行き届くところと考えると…間違いなくこの建物の最深部だと思った。
「向こうは隼太くんに理性を失わせる機会を狙ってる。颯くんが心配だけど、ここは晴人くん達と1度合流した方が賢明だと思う」
「いや…もう遅いかも」
「それってどういう…」
私が問いかける前に答えがわかってしまった。
追手がすぐそばまで来ている…つまり、合流する時間はない。


