両手で掴んで前後に思い切り揺らすと、ギシギシいって容易に外すことができた。



何とか窓から抜ければ、不自然なほど辺りが静かで人の気配がない。


暗い廊下を恐る恐る進み出口を探すけど、建物の構造を把握していないから迷路のよう。



「おい、鳳凰のヤツらが乗り込んできた!入口で迎え撃て」


「ここに乗り込むなんて命知らずの馬鹿だな」



そんな会話がどこからか聞こえてきて、慌てて隠れるところを探す。


真っ直ぐな廊下に隠れる場所なんてどこにもなくて、来た道を戻ろうとしたとき──



「…っ!」


突然誰かの大きな手が私の口元を覆い、隠し通路のような場所へ引きずられる。


そしてすぐにその誰かがわかった。




「隼太くん」


「ダメだよ逃げたら、追いたくなるのが男の性…なんだから」



危険な状況なのに、いつもと変わらず余裕の隼太くんに怖いと思ってたはずが、少しだけ安心する。


暗くても笑っているんだろうなってわかるほど声色も優しくて…涙が出そうになった。