もし、あの時あと5分でも晴人くん達が来るのが遅かったら…そんなことを考えると怖くてたまらなかった。
今の私は、彼に反論することも止めることもできない。
「王子さまがお前を助けに向かってきてるだろうから、それまで大人しく待つんだな」
「私はベルを辞退して逃げたのに、隼太くんが助けに来るはずがない」
「お前が思ってる以上にやつはお前を気に入ってる。 罠だらけのアジトへ向かってきてると部下から報告がきてる」
そう言い残して男は、重たい扉を開けて姿を消した。
このままあの男の言う通り、待っていたら隼太くんはまた暴走してしまう。
私は怯えて彼を傷つけた。
…今度こそ向き合って、彼を知らなければならない。
まずここから出る方法を考えなきゃ。
鉄格子のかけられた窓は、全部外すことができればギリギリ私が抜け出せる。
不幸中の幸いとは今のようなことで、足は自由で手錠も前でどこかの壁に繋がれているわけではない。
そして、鉄格子の根元部分が錆びてボロボロだから頑張れば取れるはず。


