「七瀬おはよ!」
「里菜ちゃんおはよう〜」
昨日の出来事が夢だったかのように、今日も変わらない日常だと教室に入るまでは思っていた。
席が隣の里菜ちゃんにいつものように挨拶をすると、ふと違和感を感じる。
聞き間違え?かもしれないけどベルがどうとかこうとか…。
「ね、なんか今日いつもとなんか違うね?」
「え、七瀬知らないの?今日の放課後に放送でベル候補が発表されるんだって!やーっとだよ!薔薇が散るまでにベルが決まるんだ」
おお、里菜ちゃんも興奮気味だった…!
そういえば、昨日の南高の人達もベルについて教えろみたいなこと言われたけどなんだろう。
北高へ入学して2年目なのにそんな噂あったかな?
「そのベルってなに?」
「……」
「あの、里菜ちゃん?」
「もしかして七瀬ってベルのこと知らずにここへ入学したの?」
私の問にどこか別の世界へ意識だけ飛んでいってしまっかのうにフリーズしてしまう。
おーいって里菜ちゃんの顔の前で手を振って、やっと戻ってきてくれた。
「どうしてここへって…寮付きで、学校の近くに私好みの書店があるから。しかも今そこでバイトもできて、こんな好条件のところ他にないよ!」
「ああ、尋ねた私が馬鹿だった。そうね、七瀬はそういう子だった」
「…ん?今、私って褒められてはないよね…?」
「呆れ半分褒め半分。七瀬はブレないなって」
額を片手で覆いお手上げとでもいうような仕草で、褒め半分と言われても…半分も褒められてる気がしないというのは心の内に留めておく。


