この恋は、終わらないと思ってた

 私はろくに画像の加工もせず、投稿文も簡潔に『夕焼けと桜』とだけ記し、桜のアップ写真を投稿した。
 すると、すぐにいいねをされたという通知が届いた。


 目の前にいる、先輩からだ。


 先輩を見ると、いたずらっ子のように微笑んでいる。


「一番乗り」


 なんだか年上に見えなくて、私はつい笑ってしまった。


「そんなの狙ってたんですか?」
「いいじゃん」


 そんなやり取りをしているうちに、また通知が届いた。
 今度は、花帆からだ。


『大学の桜? めちゃくちゃ綺麗だね!』


 メッセージが届き、返信のために文字を打っていく。


『でしょ?』


 メッセージを送信して、自分のタイムラインに新着があることに気付いた。
 花帆もなにか投稿したのかと思って、タイムラインを更新させる。


 表示される新規投稿。


 それを見た瞬間、楽しかった気持ちは一気に行方不明になった。
 シンデレラの魔法でも、もう少しゆっくり魔法が解けていくのに。
 本当に、一瞬だった。


 結論から言えば、数秒前に投稿されたそれは、花帆のものではなかった。
 何か月も動いていなかった、凌空のアカウントからの投稿。


 写真は、いわゆるカップルフォトと言われるもの。
 遊園地のお城の前で、手を繋いだ二人の背中がそこにあった。


 私がアトラクションがニガテだって言えなくて、重たい空気にしてしまった場所。
 私はそれもいい思い出だと思っていたけど、凌空にとっては違ったのかもしれない。