この恋は、終わらないと思ってた

 私の願いは、届かなかった。
 まあ、二人しかフォローしていなくて、一人が誰かわかれば、もう一人が気になるのは必然的なことか。


「……元カレ、です」


 正直に答えると、先輩は少しだけ驚いた表情を見せた。
 そこにどんな意味が込められているのか、私には読み取れない。


 私みたいな人に彼氏がいたことに驚いているのかな。


「別れてもフォローしてるんだね」


 どう、答えればいいんだろう。


 フォローを外すタイミングを失ったとか。
 友達に戻っただけだからとか。


 いくらでも言い訳は思いつくのに、私の口から出てこない。


「春瀬?」


 先輩は私の様子を伺うように名前を呼んだ。


「……未練がましい、ですよね」


 結局、やり取りしてなくても、繋がっていたくてフォローし続けているだけ。
 こんなの、未練がましい以外、なんて言うんだろう。


「ごめん、責めたわけじゃなくて……」


 先輩の申し訳なさそうな声を聞いて、私のほうこそ申し訳なく思う。
 こんな空気にしてしまうくらいなら、明るく、適当に振る舞えばよかった。


 重たくなってしまった雰囲気の中で、料理が運ばれてきた。
 いつもなら写真を撮って食べ始めるけれど、この気持ちを残しておくのは気が引けてしまって、私はスマホに手を伸ばさなかった。


 お互いに食べ終わるまで、さっきの話題には触れなかった。


「そういえば、さっきの桜の写真、まだ投稿してないんだね」


 食後の水を飲みながら、先輩は言った。


「投稿するタイミングがなかったので……」
「そっか、あれからすぐにここに連れてきたんだった」
「今、しますか……?」


 投稿を促されているような気がして言うと、先輩の目に期待の色が見えた。