好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「風里先輩もいま修学旅行で京都奈良いるんだよね」

「ふーん…」



なんて話してたら、タイミングよく先輩から写真が送られてきた。



開くと、大量の鹿。



『奈良にいるんだけど、鹿が鳩くらいいる…』



これは大変だ…。



鹿、かわいいけど。



結くんにも見せた。



「見て、鹿だって」

「あ~…俺も見たわ。まとわりついてきてめっちゃ大変だった…」



あたしは風里先輩が鹿に追いかけられるところを想像する。



なんかかわいいかも!



自然と笑みがこぼれる。



「…なに笑ってるの?」

「いや、風里先輩が鹿に追いかけられてたらかわいいなと思って」

「…」



結くんが黙った。



どうしたんだろ…。



「…小糸は、その風里ってやつのどこが好きなわけ? 年上だからいいの?」

「別にそういうわけじゃないけど…。なんだろう、包容力…?」

「そう…」



変なの…。



それからおとなしくなってしまった結くん。



一緒にパスタを食べてそのまま帰った。



「ただいまー」

「おかえり」



家に帰ると市川さんがあたしに笑顔を向ける。



あたしはぎこちない笑顔で軽く会釈。



そのまま部屋に行く。



先輩から連絡まだかな?



スマホをお風呂に持ち込んで先輩からの連絡を待機した。



お風呂から上がってしばらく、スマホが着信を知らせた。