好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「小糸ちゃんは周りにイケメンが多いね~」



なんてのんきに言ってる。



「小糸、そそっかしいし付き合うの大変じゃない?」



結人くんが言う。



何それ、マウント…?



「いや、全然かな? むしろかわいいし見ててほほえましいよ」



俺は鷹揚に構えることにした。



結人くんがイライラした顔つきになる。



「じゃあな、小糸。また家に飯食いに来いよ」

「うん、ありがとう」



そう言って店を出て行った。



『飯食いに来いよ』だって…。



やっぱ無理かも!



「小糸ちゃん、結人くんと結構仲良いよね」

「? そうですね、幼稚園のときから一緒なので」



幼稚園…。



なんか負けた気分…。



俺の知らないところで知らない歴史のある2人…。



「家族ぐるみで仲良い感じ…?」

「まあそうですね」



んん…。



嫉妬した俺は、黙って小糸ちゃんの唇をつまんだ。



「…なにするんですか?」

「いや…大人げない俺の嫉妬心です…」

「嫉妬…」



なんかちょっと嬉しそう…。



いや~、でも、幼稚園からの交友関係を切らせるのはナイ…。



「結人くんのこと好きだった時期とかある…?」

「ええ!? それはあり得ないですよ、絶対」



絶対かあ…。



じゃあいいことにしよう…。



嫌だけど…。



俺は花や飾りをいくつか買って「じゃあ頑張ってね…」と言ってお店をあとにした。



嫉妬でモヤモヤするけど、こればっかりはしょうがない…。



俺から離れられなくしちゃえばいいんだ…。



自分の中の独占欲がやっぱり今日も元気で、俺はちょっと面食らった気がした。