好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

小糸ちゃんを見送ってから俺は店の花材たちを眺める。



しばらくしてから小糸ちゃんがエプロンをつけて出てきた。



髪の毛もアップにしててかわいい。



そのとき、「小糸~」と言ってお店に入ってくる人がいた。



あ、結人くんだ…。



「結くん! どうしたの?」

「近くまで来たから寄ってみた。ちゃんと働いてんな~」

「まあね!」



楽しそうな2人にモヤ…。



俺は結人くんに近づいた。



にこっと笑顔を向ける。



「どうも~」

「…えーと?」

「小糸ちゃんの彼氏の風里です」



そう言ってぺこっとお辞儀をした。



結人くんはぎょっとした顔。



「えっ、小糸…いつの間に彼氏できたの?」

「あ、言ってなかったね…。最近できたんだよ! 前言ってた好きな人と付き合うことになったの!」



小糸ちゃん、結人くんに言ってなかったんだ…。



報告するほどの仲じゃないことに安心する一方、ちゃんと言ってほしかったなと残念でもあったりして…。



彼女の交友関係に口出しとかはあんまりしたくないけど、でも気になっちゃうよね~…。



だって明らかに結人くんって小糸ちゃんのこと好きそうだし。



小糸ちゃんは気づいてなさそうだけど。



でも仲良さげだし~…。



「小糸の幼馴染の結人です。1回会いましたよね、映画館で」

「ですね~」

「同い年だしため口でいいっすか?」

「もちろん」



なんとなく俺と結人くんの間にバチバチした空気が流れる。



小糸ちゃんは気づかずニコニコしてる。



一方、バイトの先輩のお姉さんは多分この雰囲気に気が付いてて。



面白がってそう。