好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

~小糸~

いつもより少し特別なだけの誕生日だと思ってた。



先輩はいつも誕生日に特別をくれるから。



今年はこの素敵な夜景がプレゼントかな? なんてのんきに思ってたの…。



ホテルの部屋に置かれた薔薇の花束に、あたしは今日の誕生日の意味を咄嗟に理解して。



「小糸ちゃん」



先輩の手に、言葉も失ってそのまま引かれていくと、先輩はあたしの前でひざまずいた。



先輩は微笑んでから、「俺と結婚してくれる?」と信じられない言葉と薔薇の花をあたしにくれた…。



それから、ダイヤの指輪を出して…。



「俺がデザインしたの。はめてくれる?」



うそ…。



指輪を見ると、何よりも輝いて素敵に見えて。



先輩がこれをデザインしたの…?



あたしのために…?



こんな素敵な人、ほかにいないよ…。



涙が止まらなくて。



先輩があたしにプロポーズの言葉をくれているのに、あたしは何もしゃべれない。



「あたしと…結婚してくださいっ…」



ようやく言ったその言葉に先輩は優しく笑う。



そして、指輪をあたしにはめてくれた。



それから、花束を脇に置いて、あたしのことをそっと優しく抱きしめてくれた。



「先輩…大好きっ…」

「俺もだよ。世界中で誰よりも好き。誰とも変えられないくらい、小糸ちゃんのことだけが大好き。愛してるよ」

「あたしも…世界で一番愛してます…っ」



優しい口づけ。



あたし、世界で一番の幸せ者。



こんな幸せをくれる人が、これからもずっとあたしのそばにいてくれる。



あたしも先輩にたくさんのことを返していきたい。



不思議だな。



これ以上ないくらい好きだと思っていたのに、今日でますます先輩のことが大好きで愛おしい存在になった。



先輩への愛は際限がないみたい。



先輩と訳が分からないくらいずっと抱きしめ合っていて。



それだけであたしの幸せはますます増幅する気がした。