好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

先輩と話して元気が出た。



勇気も出たよ。



あたし…家を出る。



そう決意したあたし。



後日、お母さんと話すことにした。



「お母さん…ちょっと…いい?」

「うん」



お母さんももしかしたら気が付いてるかも…。



あたしの呼びかけにも不思議でもなさそうに応じて。



リビングの椅子に座った。



「お母さん…あたし…春から家を出ようと思う…」

「小糸…」

「市川さんのことはね、あたしも受け入れるよ。再婚するのも良いと思う。だけど、あたし…やっぱり、市川さんと家族にはなれない…」



あたしの言葉に、お母さんは寂しそうな顔をした。



それでも、覚悟を決めた顔でうなずいて。



「小糸にはたくさんつらい思いをさせたね…」

「お母さん…」

「あたしのせいで…家を出るなんて選択させてごめん…」

「お母さん、違うの。あたし、お母さんに幸せになってほしいとも思ってるんだよ。それに、このままじゃあたしがいつまでも成長できないから。距離を開けることで、逆に受け入れてみようと思ったんだよ」



あたしの言葉に、お母さんは何度もうなずいて、謝った。



それでも、あたしの家を出るという決断は受け入れてくれて。



「仕送りも…するから」

「ありがとう。あたしもバイトで自分の食べる分くらいは稼ぐよ…」