好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「小糸ちゃん、お疲れ様」

「本当にありがとうございました…」

「ううん。俺は楽しかったよ?」

「良かった…」



あたしにとっての神様。



きらきら輝いて見える。



「小糸ちゃんも普通に見えたけど?」

「それは先輩がいてくれたから…。先輩がいなかったら無理だったと思う…」



ベンチに横並びに座り、先輩の肩にもたれかかる。



先輩があたしの頭に自分の頭を重ねた。



「先輩がいたから乗り越えられたけど、一人で受けるのはやっぱりきついんだなあって分かりました…」

「そっかあ」



だって今だって、家に帰ったら市川さんが泊ってるんだって思ったらやっぱりちょっと受け入れがたいもん…。



たった一日のこれだけでも先輩がいないと乗り越えられないのに、これから一緒に暮らしていくのは…やっぱり無理だ…。



あたしの中の小さい子供はやっぱり成長しないまま…。



「無理に成長しようとしなくてもいいでしょ」



先輩が言った。



「え?」

「だって10歳の小糸ちゃんが傷ついてから、それを癒し切ることもなくここまで来ちゃったんだもん。急に成長しろなんて方が無理だよ」

「…」

「距離を開けることで見えるものだってあるし、見えなくたって、それが小糸ちゃんと家族の新しい在り方なんだよ」



先輩の言葉ってやっぱり心にすっと溶け込む…。



あたしのことを大切に考えてくれる先輩の言葉。



あたしと家族の新しい在り方か…。



「なんて、俺が偉そうに言える立場でもないしそんな権利もないんだけどさ」

「ううん…なんか…響きました…」

「そう?」

「うん…ありがとう」



それからまだ寒い冬空の下、2人で身を寄せ合ってしばらく星を眺めてた。