好きって言ってよ ～先輩、溺愛しすぎですっ～

というわけで、風里先輩同席のもと、市川さんと久しぶりに会うことになった。



あたしの家で夜ご飯を食べるの。



先輩が昼から来ていて、お客さんなのになぜかご飯を作ってくれた。



「おいし！ 風里くんって本当なんでもできるんだね」



味見をしたお母さんが驚いてる。



それから夕方になって市川さんが来て…。



「お久しぶりです…」



あたしが市川さんと卒業まで会いたくないと言ったことは当然伝わってるわけで、若干気まずい…。



でもそんなこと気にしてないように、市川さんは笑顔。



「久しぶり、小糸ちゃん。大学合格おめでとう」



そう言ってくれた。



良い人なんだよね…。



それから風里先輩にも顔を向けた。



風里先輩が来ることは伝わっている。



「はじめまして、市川です。小糸ちゃんの彼氏さん、イケメンだね～」

「あはは、ありがとうございます。霜月風里です。よろしくお願いします」



和やかな雰囲気。



あたしは風里先輩に感謝…。



あたし一人だったら逃げ出したくなってたかも。



風里先輩がいるからこそ、穏やかな気持ちでいられる。



あたしには風里先輩がついてるんだ！ って強い気持ちになれる。



「これ風里くんが作ったの！？」

「はい、暇だったので作っちゃいました」

「すごいね～、おいしい」

「ありがとうございます」



風里先輩の才能は誰もが驚いちゃうよね…。



それから終始場は和やかで。



あたしもいつもみたいに肩肘張るようなことなく過ごすことができた。



その日、市川さんは泊まっていくことになって。



あたしは風里先輩を送りがてら一緒にいつもの公園まで行く。