好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

さて、家に帰ったあたし。



受験の終わった今、考えないといけないことがある…。



春からのあたしは家を出るか、ここに残るか…。



大学までは1時間半以上の距離。



まあまあ遠くはあるけど、通えないこともない。



あたし次第なんだよね…。



今は先輩と家が近いっていうのもあたしにとっては結構大きいこと。



その生活を手放すのも寂しい…。



学校自体は先輩の通う大学とそう遠くはないんだけど…。



それに、引っ越すならバイトも辞めないといけない。



悩みの種はたくさんだ…。



風里先輩は「小糸ちゃんの好きにしたらいいよ。もし小糸ちゃんが一人暮らし始めるなら超通っちゃうと思うけど」と言ってくれた。



どっちにしても、先輩との距離はきっと変わらない。



うーん…。



だけどあたしは、市川さんと暮らす勇気もない。



市川さんを受け入れることと、一緒に暮らすことはまた別だ…。



市川さんに…会ってみようかな…。



「お母さん…久しぶりに市川さんに会ってみる…」



あたしがそう言ったら、お母さんは嬉しそうだった。



あたしが家に残るって言ったらお母さんはすごく喜ぶんだろうなあ…。



そんなこともあたしを悩ませて。



あたしだってお母さんの娘だもん…。



市川さんと会うのは一年ぶりで。



会う日が近づくにつれ、あたしはなんだか憂鬱になっていった。



「先輩…もしよければ市川さんが来る日、一緒にいてもらえません…?」

「えっ?」



先輩にお願いしてみた。



先輩が一緒にいてくれたら気も紛れると思うの…。



先輩はあたしに優しく笑いかける。



「俺なんかがいていいの?」

「いてほしいの…」

「分かった」



良かった!