好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

それって…、亜子さんが結くんの心の中に入ってきてるってことじゃないの?



あたしを言い訳に亜子さんと向き合ってないだけでしょ?



「結くん…。本当は亜子さんの気持ちも、自分が亜子さんをどう思ってるかも分かってるんじゃないの?」

「…」



亜子さんが泣きそうな顔で結くんのことを見てる。



あたしはこれ以上なにも言えないよ。



言いたいことは全部言った…。



「結人…、あたし、結人のことが好きだよ」



亜子さんの言葉に、結くんが唇をきゅっと結んだ。



「結人だって気づいてたでしょ?」

「確かに…気づいていて、知らないふりは…してました」

「結人は…あたしのこと、どう思ってるの…?」



亜子さんが、勇気を振り絞った声で結くんに聞いた。



結くんは顔を伏せながら話す。



「亜子さんのことは…惹かれてるのは、事実です。でもやっぱり俺の心の中には小糸がいて、その影をいつまでも追い続けてる…」

「それ…あたしが忘れさせることは、できないの?」

「こんな中途半端な気持ちで亜子さんのところに行くことはできないです…。そのくせ、亜子さんに甘えて亜子さんから離れられなかった俺も事実です…」

「いいよ、心の中に誰がいても。あたしがそのまま受け入れるよ。あたしのところに来てよ…」



これ以上…あたしがここにいてもいいんだろうか…。



あたし、どう考えてもこれ以上は邪魔…。



そう判断したあたしは、公園をそっと後にした。



どうなったかはあとで亜子さんから聞こう…。



あたしは風里先輩に会いたい…。



「風里先輩?」



風里先輩に電話した。



≪どうした?≫

「今から先輩の家に行ってもいいですか…?」

≪いいけど…どうしたの?≫

「先輩に会いたくて…」