好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「亜子さん…あたし、結くんに怒りに行ってもいいですか…?」

「えっ?」

「結くんに腹が立ちました…」



亜子さんはびっくりした顔をしてる。



でも…。



「お願いしようかな…」

「任せてください!」



あたしは亜子さんを連れて結くんの家まで行くことにした。



インターホンを鳴らすとお母さんが出てくる。



「あら、小糸ちゃん、どうしたの?」

「結くんいる?」

「いるよ、ちょっと待ってね」



しばらく待って出てきた結くんは、あたしの後ろにいる亜子さんを見て動きが固まった。



「結くん、ちょっと来て!」



そう言って近くの公園まで引っ張る。



「え、なに…小糸、これどういう状況?」

「あたしは怒ってるの!」

「え、は…?」



意味の分かってない結くんの顔。



あたしはそんなのお構いなし。



「結くん、亜子さんのことどう思ってるの!」



結くんがぎょっとした顔であたしを見てから、亜子さんのことをちらっと見た。



亜子さんは結くんから目を逸らす。



「都合よく亜子さんに中途半端な態度取るのはやめて!」

「お前に関係あるの?」

「あるよ! あたしのことが好きなの? それで亜子さんを都合の良いように扱って振り回すの、ずるいよ、最低だよ」



結くんはあたしの剣幕に言葉をなくした。



あたしは怒ってるよ。



「お前のことは…正直忘れられないよ、引きずってる」



結くんの言葉に、亜子さんは顔を伏せる。



「でもそれが執着に近いことも…分かってる。小糸にきっぱり振られて、本当はもう心の整理はついてるはずで…。お前が心の中からいなくなるのが受け入れられないのかもな…」

「…」