好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

そして、俺はついに大学に入学した。



『初登校がんばってくださーい!』



小糸ちゃんからの激励メッセージにほっこりする。



入学式はすでに終えて。



今日ははじめての授業の日。



直くんと加奈乃ちゃんとほぼ同じ授業なので一日一緒に移動する。



受ける授業は新鮮なことばかりで楽しい。



「疲れた~」



加奈乃ちゃんが授業を終えて伸びをする。



「お昼食べよっか」



3人で学食に向かった。



初めて食べる学食。



安くておいしくて学食ってすごい!



って…ん?



学食に感動してる俺の視界に入ってきたのは、見覚えのある人影…。



綾乃…?



えっ…まさかそんなわけないよね…?



確認しようと思ったけど、人ごみに紛れてその人影は見えなくなった。



「どうした、風里」

「いや…なんか元カノがいた気が…」

「まじで!?」




いや…あり得ないよね…。



でも…。



綾乃とは美術の作品展で知り合った。



俺も向こうも何度か美術の賞で入賞してて。



お互い絵を描くのが好きで話も合って付き合うようになった。



国内上位校のこの美大にいてもおかしくはない…。



「確かめてみなくていいの?」

「いや…なんか前にもたまたま会ったんだけどそのときなんか未練あり気なこと言われて…。本気でその元カノだとしたらあんま顔合わせたくない…」



俺がそう言うと、加奈乃ちゃんが「あーあ、彼女かわいそ~」と嫌なことを言った。



「加奈乃…。お前は風里に厳しいな…」

「だって彼女の立場になったら超嫌じゃん」



だよね…。



嫌だよね…。



できればこのまま曖昧にしておきたい…。



でも言わないままなのも隠し事してるみたいで嫌だな…。



言うか…。