好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

しぶしぶスマホをしまう俺。



小糸ちゃんの歌声はすごくかわいらしかった。



ずっと聞き続けられるようなきれいな声。



歌い終わった小糸ちゃんにパチパチと拍手した。



照れたように笑う小糸ちゃん。



「風里先輩の歌も聞きたいです!」

「いいよ」



俺も適当に曲を入れてマイクを持った。



歌うたうのは結構好き。



家族旅行とかでカラオケしたりとかもするし。



歌い終わると、小糸ちゃんは「先輩は歌もうまいんですね…」と褒めてくれた。



それからしばらくみんなで歌って、ご飯を食べてから解散。



家の方向が一緒の俺と小糸ちゃんは手を繋いで一緒に帰る。



「小糸ちゃんももうすぐ春休みだね」

「ですね! 3年生なったら受験勉強もはじめないとなあ…」

「一緒に勉強しよ」

「ぜひお願いします!」



なんて言いながら歩いてたら、小糸ちゃんの動きが止まった。



ん?



視線の方向を見ると、繁華街に入っていく結人くんと亜子さん…。



なんか手つないでるし…。



「付き合ってるのかなあ、2人」

「亜子さんに聞いてみたら?」

「なんか聞きづらいんですよねえ…」



亜子さんは最近変なことが多いらしい。



明らかにテンション低い日とか、かと思えば無駄に明るい日とかあるって。



怪しいね…。



結局よく分からないままその2人が繁華街に消えていくのを見つめるだけだった。



小糸ちゃんが結人くんのことそんなに気にしてるのも俺は若干嫉妬しちゃうけど。



小糸ちゃんなりに2人の関係に心を痛めてることも知ってる。



俺は小糸ちゃんがなんの心配もなく楽しく暮らせてたらそれで良い…。