好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

そして大晦日になった。



あたしは朝から風里先輩の家。



お父さんも家にいて、一緒におせちづくりを手伝う。



毎年こうやってお父さんと一緒に作ってるんだって。



しばらく作ってから、お父さんは「お店行ってくる」と出勤していった。



あたしと風里先輩は、リビングでテレビ。



途中でお姉さんとその彼氏の渚さんも来たので、お母さん含めて5人でのんびりテレビを見る。



なんかこうやって家族の仲間入りさせてもらってるみたいで嬉しいな…。



それから夜になって、用意してくれたお寿司をみんなで食べた。



「ほら、小糸ちゃんもっと食べて。エビ食べる?」

「あ、すみません…」

「渚も全然食べてないじゃん、もっと食べな」



お母さんがあたしたちに甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる…。



ありがたいけど申し訳ない…。



「母さん、そんなはしゃがなくても…」

「だって嬉しいじゃん、みんなでこうやってうちに集まってきてくれて」



そうか、喜んでくれてるのか…。



そう言ってもらえるとなんだかすごく嬉しい。



年末の歌番組を見ながらみんなでダラダラご飯を食べて。



「去年小糸ちゃんがいつも行ってる神社教えてくれたでしょ、今年は俺がいつも行ってるところ行ってみる?」

「はい!」



というわけで、年越し直前に近くの神社まで歩いていくことになった。



「寒いから上着着て~」

「はーい」

「はい、マフラーも巻いて~」

「はーい」



先輩があたしを子供みたいにして防寒着を着せてくれる。



最後に、先輩のニット帽をあたしに耳まですぽっとかぶせた。



「うん、かわいいしあったかそう。じゃあ行こう!」



出してくれた手を握って家を出た。



2人とも手袋をしてるからつなぎにくいけどそんなのお構いなしだ。