好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

~小糸~

先輩と別れて家に入ると、お母さんが「良い子だね、風里くん」と優しい顔で言ってくれた。



あたしはうなずく。



なんかちょっと恥ずかしい…。



お母さんと恋バナとかもあんまりしたことないもん…。



「あたし風里くんのこと気に入っちゃったよ」

「それは…良かった…」

「小糸がトイレに行ってる間にね、小糸のどんなところが好きか聞いたら、『とにかく可愛くて素直でまっすぐなところ』って言ってたよ」



その言葉にあたしの顔は真っ赤になる。



嬉しいけど、風里先輩、お母さんにそんな恥ずかしいこと言ったの…。



お母さんはくすくす笑ってる。



「小糸が幸せそうであたし嬉しかったな」

「…」



なんかこんな会話もしたことがないから不思議な感じ…。



お母さんってちゃんと親なんだなあ…。



「あ、そういえばね、年越しは風里先輩の家でしようと思ってるの…」

「そうなの?」

「うん、だから、お母さんは市川さんと一緒にいていいよ…?」



あたしがそう言ったら、お母さんが優しい顔でふっと笑った。



「ありがとね、小糸…」



お母さんとも…いつかもっと素直になれる日が来たらいいな…。