好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

「帰りたくないね」

「うん…」

「ちょっと適当にその辺歩こうか」



先輩のその言葉で、手をつなぎながら駅周辺の繁華街を歩いた。



こんな時間に開いてるのは居酒屋さんばっかり。



カフェとかも開いてないしなあ…。



先輩となんとなく会話をしながら歩いていると、道を一本間違えてホテル街に入ってしまった。



なんか気まずい…。



でもラブホテルって見た目派手で面白いよね…。



ちょっと興味深くて思わず見入ってしまった。



そんなあたしに先輩がにやにやとする。



「なに? 興味ある?」

「そ、そういうわけでは!」



にやにやし続ける先輩にあたふたするあたし。



そのとき、あるものが目に入った。



え…結くんと、亜子さん…?



ホテルに入っていく2人の男女。



遠目からでよく分からないけど、2人に見えるような…。



「どうしたの?」



一点を凝視してるあたしに風里先輩が聞く。



「いや…。結くんと亜子さんがホテルに入っていくように見えて…」

「えっ、ほんと?」

「いや、分からないんですけど…」

「俺たちも行ってみよう!」

「ええっ?」



先輩が楽しそうにあたしを引っ張った。



あの…それって先輩がホテルに行きたいだけでは…。



だけど楽しそうな先輩にあたしは何も言えない。



っていうか、もしかしたらあたしも期待しちゃってるのかも…。