好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

嬉しそうにそう言った先輩は、そのあと「そういえば」とあたしの顔を見た。



「小糸ちゃんは進路どうするの? 大学とか…」



先輩に言われて、はっとするあたし。



「そうですよね…ほんとそうなんです。やりたいことが全然なくて…」

「そっかあ。うーん…子供が好きなら、保育士さんとか学校の先生とか…」

「うーん…。どうなんでしょう…」

「まあ別に将来のことそこまで考えなくてもさ、軽い気持ちで、例えば教育学部目指したりとか、そういうのはアリだと思うよ。教育学部じゃなくても、何かちょっとでも興味があるような分野があるなら」



興味のある分野か…。



そもそも勉強なんて好きじゃないしなあ…。



難しい問題だ…。



早く決めないと受験の時期にも差し掛かってきちゃうしなあ。



風里先輩は、あたしの頭をやさしく撫でた。



「どんな道を選ぶにしても、そばで応援させてね?」

「それが救いかも…。受験とかすることになったら勉強教えてください」

「それはもちろん!」



あたしは何気なく隣の風里先輩にもたれかかった。



先輩が頭を撫で続けてくれる。



こんなのんびりとした時間がとてつもなく幸せ…。



そのまましばらくそうしてたら、先輩が「小糸ちゃん」とあたしの名前を呼んだ。



「はい?」

「小糸ちゃんにプレゼント~!」



先輩がそう言って、カバンの中から小さい箱を出した。



「え~、なんですか?」

「開けてみて」



そう言われてそっと開くと、中には2つのシルバーのペアリング…。



よく見ると、指輪の内側に『koito』『furi』と彫ってある…。



「素敵…」

「俺が作ったんだよ」

「えっ!? オーダーとかじゃなく!?」

「うん、銀粘土ってやつでね。初めてやってみたんだけど上手くできた~!」



やっぱ風里先輩って天才…。