好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

小糸ちゃんを引いたまま家のドアを開けた。



小糸ちゃんは戸惑いの顔。



なんで自分が連れてこられたのか分からないって感じ。



俺もなんで連れてきたのか分からないや…。



だって今は離れがたかったし…。



「悠麗くん! 第一志望、推薦で合格した!」

「おお~、すげえな! おめでと!」



実は悠麗くんの出身大学と同じとこ。



国内トップの学科。



かなり嬉しい。



悠麗くんが、自分のことのように喜んでくれた。



それから、俺の隣の横の小糸ちゃんに視線を動かす。



小糸ちゃんはぺこっとお辞儀した。



「なんか…突然すみません! 風里先輩とお付き合いしてる鶴巻小糸です!」

「おお~、写真で見たよ。小糸ちゃんね。風里に連れまわされてんだろ。かわいそうに…。ゆっくりしてってね」



悠麗くんは小糸ちゃんに優しい笑顔を向ける。



ほっ…。



それからしばし、悠麗くんと美大トークで盛り上がる。



小糸ちゃんはつまんなそうだったけど、出かけてた玖麗ちゃんが帰ってきて玖麗ちゃんにも挨拶してた。



玖麗ちゃんが「小糸ちゃんを疎外しないの!」とちょっと怒って。



「ごめんね、小糸ちゃん」



俺がそう言って小糸ちゃんを腕の中に収める。



小糸ちゃんは顔を赤くして抜けようとした。



「あたし帰ります…」

「そんなこと言わないでよ。ごめんごめん、俺も帰るから」



というわけで悠麗くんの家を後にした。



悠麗くんの家を出たあとも俺は上機嫌。



小糸ちゃんはそんな俺を見て「あたしも同じくらい嬉しいです」と嬉しい言葉をくれた。